ドアを閉め、校門に向かって歩き出そうとすると、前から偶然、マリアさんが歩いて
くるところだった。

「アーシノ、こんにちは」
「ああ、こんにちは、マリアさん」
「こちらの女の子は?」

 俺の後ろに、半分隠れるようにして立っていたリセルシアに、マリアさんは話しかける。

「こんにちは」
「あ……あの……」
「えっと、この子がリセルシア。昨日話したと思いますけど、俺の担当する生徒の一人
です」
「こんにちは、リセルシア」
「あ……はい……その、こんにちは」

 最初にファルさんから引き合わされた時のリセルシアは、そういえばこんな感じだっ
たか。まだ、慣れない人間に対しては、こうして口ごもってしまうんだろう。リセルシ
アが一年生の頃になにがあったのかを知れば、それも納得がいった。しかし、全てを知
ったファルさんは、彼女の誤解を解き、あんな風に笑えるようにしたんだ。

「ふふ、かわいいわね。これから二人でおでかけ?」
「三人で……ですね。食事に行く予定ですが、すんなりは行かないでしょうけど。そち
らは? コーデル先生なら、まだ中にいますよ」
「ありがとう、行ってみるわ」
「ええ、ではまた」
「あの……その……失礼します……」

 リセルシアは、かろうじてそれだけ言って、頭を下げた。そして俺達は再び校門へと
向かった。
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